児童文学『なまくら』を映画化しよう!

平成29年2月に撮影された『チョボイチ』は、京都各地で上映されています。

風吉役、川瀬芽依ちゃんの撮影前のインタビューをご覧ください。

俳優 榎木孝明さん『なまくら』を朗読

「チョボイチ」あらすじ  2016年 2月撮影

 

両親に幼い頃、捨てられた銀の字(14歳)は、人をだます智恵で生きてきた。

 

母に捨てられ、自分勝手な父に育てられてきた風吉は、父を憎みながら、銀ノ字といかさまバクチを開き、人をだました銭で浮き草の様な暮らしをする。

 

大金をかすめ取る瞬間の、ぞくぞくする気持ちはたまらない快感がある。

逆にヤクザや役人に怯え、逃げ回るのは、こそこそとしていて生きた心地がしない。風吉は足を洗い父の仕事を真似て高瀬船の綱引きの仕事を始めた。

 

夜明けとともに伏見を出て、京都まで2里半(約10キロ)あまり、四人掛かりで荷船の綱を引きながら、高瀬川を正午までさかのぼってくる仕事である。

 

足を洗おうとする風吉を、銀の字は執拗に邪魔をし、バクチの手伝いをさせようとする。

 やがてヤクザや抗争相手に睨まれ、追いつめられていく。

 

2人は罠にはめられ殺されそうになる。

その時、風吉の、臆病で卑怯者の父親が、震えながらも棒切れをもって立ちはだかり、2人を助けてくれた。しかしその姿はぶざまでみっともなかった。

 

2人に別れがやってきた。

銀の字は風吉の父親が自分にもいてくれたら、どんなにかいいだろうと言った。

何が幸せで、何が本当にかっこいいのか。

自分は本当はどんな生き方をしたいのか、2人は考え結論をだしてゆく。

 

『チョボイチ』子役キャスト

風吉役の川瀬芽依ちゃん(11歳)ピカロエンタープライズ所属

銀ノ字役の上田友貴くん(16歳)ピカロエンタープライズ所属

やがて命を狙われ逃げ回る少年。そんな中、もし、あきらめずに身体を張って守ってくれる大人がいたら・・・その時、子供は心を少し開く事が出来るかもしれない。罪を初めて怖く思い、心の涙が落ちてきた時!、導いてくれた大人の気持ちに寄り添おうと努力し始める時が来るかもしれない。


 

「なまくら」あらすじ  2016年 8月撮影

 

 

 

14才の矢吉は、住み込んでいた京都の左官屋を逃げ出して、砥石山に来た。矢吉にはいつも胸の中に嫌気虫がいて、辛い事が我慢できず、ひとっところで修業できない半端者としての性(さが)がある。だから、土手づくりの仕事も、駕篭かき人足の仕事も逃げ出してきた。砥石山の親方は厳しいしお金にせこいと言われている。

 

親方の口癖は、「砥石が無ければ職人の道具や、刃物は全てなまくらになる。砥石で磨き上げなければ使い物にならない」だった。

 

そろそろ逃げ出したくなって来たある日、同郷の12才のトメが足を骨折して、故郷に送っていってあげなければならなくなった。

逃げ出す様に給金を貰って、これ幸いとトメを担いで行く矢吉。

 

故郷の黒谷は、土地が痩せ細っており、男達は外に仕事を探しに行って

女と年寄りしか残っていない。唯一の産業は安い手間賃の紙づくりある。

 

本当は母に会わせる顔などない。村まで来て、遠く母の打つ紙すきの音が聞こえてくると、申し訳ない気持ちで一杯になってしまった。

冷たい冬の水に手を入れて紙を梳いている母、不平不満を一度たりとも言ったことが無い。

そんな母の紙すきの音は、美しすぎて家に近ずけなくなってしまったのだ。トメに給金を渡してもらう様に託して村を下り始めた矢吉、その背中に母の自分を呼ぶ声が被った。

優しい母の声、しかし今の矢吉は早く一人前になって紙すきの音に負けない美しくて力強い自分の技が欲しかった。

 

『なまくら』子役キャスト

矢吉役の上田和貴くん(13歳)ピカロエンタープライズ所属

トメ役の井上優吏くん(13歳)ピカロエンタープライズ所属

故郷 黒谷の灯が遠くに見えた時矢吉は決意した。その時、厳しくも温かい砥石山の親方の言葉がこころに響いた。


 

「赤い番傘」あらすじ   2017年8月~11月撮影

 

メイは「竹馬」という棒に古着を吊るして町に売りに行く。

女の人が居そうな長屋を探し店を開く。

値切られない様におばちゃん達とやりあい、少しばかりの儲けをコツコツ貯めている。

 住み込み先のおかみさんが、古着商いの元締めだった。

 

ある日警察の巡査が、兄の勝二のことを探して尋ねて来た。

伏見歩兵第九連隊にいたが、脱走したそうだ。

「3年兵隊を我慢したら、また大好きな百姓をやる!」

 それが兄の口癖だったが、脱走してしまったら田舎には帰れない。2年から3年の重禁錮だ!

 

勝兄は隣の車夫の六さんの所に逃げ込んでいた。はっきり言って非常に迷惑だった。おかみさんにこの事が知れたら、間違いなく通報される。

何故我慢して働けなかったのだ。

勝兄は、「人殺しは嫌だ、野良仕事はなんぼでも辛抱する。けど、人を殺す事だけは辛抱出来ひん!北海道にのがれて百姓をやる」と言った。

 

六さんは自分の車で逃がしてやるから、有り金を餞別に出せと言う。

メイは少しずつ貯めて来たお金を勝兄にあげる事になってしまったので悔しくて涙が出た。

 

北海道などという最果ての地に行ってしまったら二度と会えないだろう。

隊に戻れば逆賊の西郷隆盛と一戦を交えなければならない。

この戦いはこの世の中は、正義がおかしくなっている。

 

人力車で逃げる時、おかみさんはボロボロの赤い番かさを渡してくれた。

女と思われて巡査の目を間一髪かいくぐれた。

ケチだと思っていたおかみさんがこんなことをしてくれるなんて、、、

こんな時、人は正義が出るのだろうか。六さんも何の得にもならないのに、捨て身で守ってくれた。

 

本当に、人というものはよくよくわからないものだけれど、いざと言う時、本心で体が動く。

メイは心の底から、兄が北海道に無事について、生きたい様に生きて欲しいと願った。

だってお金よりも自分の安全よりも、大切なものがあるんだなと、メイは気付いたからだ。

 

『赤い番傘』子役キャスト

メイ役の川瀬芽依さん(13歳)

ピカロエンタープライズ所属

 

 

「勝二兄にとり、切り合いと逃げるのと、どっちがいいんや!」悩むメイ。

その時大人は、、


 

「灰」あらすじ    2018年9月~11月撮影

 

 親を養いながら、生活しなければいけない生活苦から、灰泥棒をはたらいた半吉と市は13才。

 大人に見抜かれ、捕まって叩かれながら、灰はどれだけの手間と日数をかけて、作られるのか、この灰はどんなことに使われているのか、その見えなかった価値を教えられる。

今まで無かった罪悪感が強く芽生え、浅はかな自分を恥じた。

 

その、価値とは少年達にとって何だったのだろう。

それは世の中を、今までとは違った目で見る事が出来る、大人の世界の入り口だった。

盗人と呼ばれて怯えて暮らすより、嘘をつかず正々堂々と生きた方が、少々しんどくても、楽でたのしい。

 

『灰』子役キャスト

半吉役の友金晴海くん(15歳)

日本放映プロ所属

 

 

市やん役の久保田直樹くん(17歳)

日本放映プロ所属

 

生活を支える為、灰を盗んでしまったふたり

心ある大人に導かれ、悪の道から引き返した時

正直に生きることの大切さを知った。

 


「車引き」あらすじ  2019年 6月・7月撮影

 

刀鍛冶として、地位も名誉もあった父は、江戸時代初期より続いた名門刀鍛冶の血筋であったが、明治政府の御一新の廃刀令が出され、没落した。

金持ちから貧乏になり、車引きの仕事で働くことになった少年長吉15才。

 

八坂神社にお参りする人達を横目に座り込むと、吉兆縄の火が踊って見える。指でクルクルと回る様は赤い輪の様にみえた。

去年までは俺もあんな風にして、四条通りを父母や妹と、着飾って歩いていたなあ、、、どうあがいても、あんな暮らしには戻れない。

 

昔の知り合いは皆、手の平をかえした様に馬鹿にした。

会う度に追い回され、いじめはエスカレートしていく。

自分の事はまだしも、父や母を無能扱いするのが嫌だった。

 

こんな情けない姿は、幼なじみの深雪だけには見られたくなかった。

お客の我が儘に振り回され、小銭を投げる様に貰う。

自分の顔はどんどん暗くなり、卑屈になっていくのがわかる。

自分は世の中で一番惨めな気がした。

 

虐めから助けてくれたノッポは、プライドの無い男で、客に愛想笑いを浮かべる元サムライ。しかし、ブリキの箱に火のついたタドンを入れ、人力車用コタツを発明し、いつもお客の気持ちになって働いていた。

 

俺はどうなんだろう。

何のために生きているんだろう、、、。

 

人ごみの中、深雪の姿を探す長吉。

会えないと思っていた深雪に、突然会えた。

駕篭屋に無理矢理乗せられようとしている後ろ姿が見えた。

惨めな自分に、何故だか力が湧いた。

 

深雪は、自分のことをずっとまち続けていると言ってくれた。

世の中の全てのことが、なんにも信じられなくなっていた長吉は、もう一度

 

信じてみようと思い始めていた。

深雪のことも、自分のことも。

頭の中を、吉兆縄の火と重なり、タドンの火が熱く燃えていた。

 

『車引き』子役キャスト

長吉役の役西脇伶くん(16歳)

(株)アイランドプロモーション所属

深雪役吉岡柚乃さん(10歳)

(株)アイランドプロモーション所属

 

再開した長吉と深雪。夢を失った長吉は、深雪に今の自分の姿を見られたくなかった。

『何にも恥ずかしいことあらへん。うちは長吉さんをずっと待ってる』

深雪の言葉が暗闇にいた長吉の心に灯をともした。

 


映画『なまくら』企画者・中野広之監督(左)/『なまくら』原作者・吉橋通夫先生(右)

1944年、岡山生まれ。法政大学卒.「季節風」同人。1979年『たんばたろう』(TBSブリタニカ)で毎日童話新人賞受賞。1988年『京のかざぐるま』(岩波書店)で日本児童文学者協会賞受賞。2005年『なまくら』で、第43回野間児童文芸賞受賞。現在長野県在住。おもな著書に『まんねんホ~イ』『風の森のユイ』『風雪のペン』他